神の乳ちぎり
k o u j i * i k e n a g a

神の乳ちぎりを思いついた俺の天才が怖い
さっそく準備のために買出しに向かう

街は色とりどりの銃弾で溢れ、幸せそうだ
もうすぐ、本当にもう、すぐだ。俺も幸せになる

神の乳ちぎりで俺は幸せになるんだ
そう呟きながら貴婦人のそばを通り過ぎる真昼

よくわからない空気で腹をふくらました女どもが
踏み切りの先の公園に大勢いる

宙に浮かぶそのよくわからないものたちの腹を
ヘヴィー級のボクサーが殴っている

痛いんじゃないのかと思ったのだが
女どもは、とても気持ち良さそうにしている

俺はうらやましそうにそれを見ていた
そう、その時に思いついたのだ、神の乳ちぎりを!

手順はこうだ、まず神を見つける、これは簡単、奴は
先週、駅前でホームレスに乳を揉ませながらカップ酒を飲んでいた

次に、奴に近づき、乳をちぎる
それでおしまい

繭のような幻想の痛みを感じる間もなく
乳ちぎりは終わる、俺は終わらせる

そうだこの乳ちぎりは世界史から切り離された出来事なのだ
断絶された歴史の手のひらの上を転がるのだ、俺は

間違いない、俺は成功する
自信は確信へと育ち、俺は希望を描く

しかしまったく、神の乳ちぎりのスキャンダルといったら
俺は歓喜で身震いするほどだ

いつも憧れてきた、終わらせる事に憧れて
今こそまさにその時、ああ、いよいよだ
俺が俺は主役だこの世界の!


自由詩 神の乳ちぎり Copyright k o u j i * i k e n a g a 2003-11-16 16:49:28
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