神の乳ちぎり
k o u j i * i k e n a g a
神の乳ちぎりを思いついた俺の天才が怖い
さっそく準備のために買出しに向かう
街は色とりどりの銃弾で溢れ、幸せそうだ
もうすぐ、本当にもう、すぐだ。俺も幸せになる
神の乳ちぎりで俺は幸せになるんだ
そう呟きながら貴婦人のそばを通り過ぎる真昼
よくわからない空気で腹をふくらました女どもが
踏み切りの先の公園に大勢いる
宙に浮かぶそのよくわからないものたちの腹を
ヘヴィー級のボクサーが殴っている
痛いんじゃないのかと思ったのだが
女どもは、とても気持ち良さそうにしている
俺はうらやましそうにそれを見ていた
そう、その時に思いついたのだ、神の乳ちぎりを!
手順はこうだ、まず神を見つける、これは簡単、奴は
先週、駅前でホームレスに乳を揉ませながらカップ酒を飲んでいた
次に、奴に近づき、乳をちぎる
それでおしまい
繭のような幻想の痛みを感じる間もなく
乳ちぎりは終わる、俺は終わらせる
そうだこの乳ちぎりは世界史から切り離された出来事なのだ
断絶された歴史の手のひらの上を転がるのだ、俺は
間違いない、俺は成功する
自信は確信へと育ち、俺は希望を描く
しかしまったく、神の乳ちぎりのスキャンダルといったら
俺は歓喜で身震いするほどだ
いつも憧れてきた、終わらせる事に憧れて
今こそまさにその時、ああ、いよいよだ
俺が俺は主役だこの世界の!