最強。な雑魚
水戸 うしん

なにも見えない
いいとこなんて見てない
そんなとこ見なかった
葉月。の海月から、棘言葉を聞いた。


雨水が海面を打ちつける、
飛び込み方、を間違えれば、打身。

そんな海原をみていたら
雨が強くて、口の中にも。入ってくるから
ぺっ、と吐き出す。

塩っぱい雨水。
全身で雨と、汐風を浴びる。

前を見れば、鉛色。の海面。
上を見れば、消炭色。の空。


柔らかな場所。棘が抜けない。

長月の汐風は身体の体温を
どんどん奪っていく。


お願い。伝えるとき。
私の、体温が無いと、だめなの。

奪わないで。おねがい、


行く宛も無く、ただ流れるまま、
自分の意思さえ流されてしまう。

そんな、あおさ。
みたいにはなりたくない。

根を張っても。あっさりと抜かれる。
私あおさ。にはなりたくない。

一定の場所、に留まりたいのに。
浮遊する。それは。

でも悪いこと。だけじゃなかった。

何処にだって行ける。


棘が刺さったまんま
海水、を流す。魂のない人形。
浮。遊。をしていると思い込み
海に投げ捨てる。


私が自由になるには
生塩イッパイの海水。と
海月からの棘言葉、でした。


大きな哺乳類。がいる
海水の中の甘いシオミズ。
水中游泳、を舞う。
求愛行動、を乞う。


もう見なくていい。
見えないでいい、

見る気もないなら。

もう見ないで。



あっさり抜きさった事、
それで。良かったのよ。


海月は柔らかな動きと、
優しさ。さえ感じる、ゼラチン。


棘があるのは、知っていた。
見て見ぬフリ、分っていた。


最後に、棘と電気で
とどめ、を刺しにきたのね。

最強とは何、最低にしてあげるよ。


今度見るときはね。

反対側。の海洋を見る。
そこでも水中游泳を。

夏の海色。冬の海色。


温かさで。溶かしてください。
棘の刺さった、冷えきった柔らかな場所

寂しさや、空虚感、絶望感。痛い、
心を刺された。
色気を振りまく、
たくさんの人魚達に群がる雑魚海月。
に。全て渡してしまおう。




奪われなかった。体温を伝えにいきます。
そして、私にも。伝えてください。







自由詩 最強。な雑魚 Copyright 水戸 うしん 2017-09-12 21:42:30
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