覚醒シンドローム
ミナト 螢

君が死んだと思うことにした
思い出は過去の金庫にしまって
これからはその貯金で生きよう

美しかったと憶えているのは
君の前歯と爪の形くらい
優しかったと水増しするのは
僕が愛されたと言えるように

燃えるような恋をしてきた
君のことが羨ましくて
首にロープを巻きつけたくなる
そんな危険な心を隠して

君が死んだと思うことにした
思い出はまだ沢山あるもの
僕が死ぬまでに使いきれない


自由詩 覚醒シンドローム Copyright ミナト 螢 2017-09-03 18:57:34
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