消失点
Seia

カーテンから
もれてくるはずのひかりが
今日はなんだか弱い気がする
消失点とおなじ朝

つけっぱなしにしていた
デスクライトが
明るさを補完している
ほこりの粒がひとつふたつ

諦めなかったひとの声ばかりが
わたしのこころをさす
耳をふさげば
それでいいとおもっていた
手の甲にあいた穴
壁のむこう
赤ん坊の声がよく聴こえる
それはそれでよし

針金でつくった紙飛行機を
とばす夢から覚めない
硝子に突き刺さった
鳩がこちらを見ている

足にかけたタオルケットを
踏み荒らすゴーストの群れ
ドアから窓へ
ドアから窓へ
ちらりと
わたしを見た七人目
顔のない顔
わらっていた
ような気がした

継ぎ接ぎだらけのロボットが
人間の心を獲得しましたという物語を
目を細めて受け取ることができない
ロボットは
ロボットのままのほうが
美しいのではないか
枕元にネジ

カーテンから
もれてくるはずのひかりを
もとめてさまようウスバカゲロウ
消失点のその先に


自由詩 消失点 Copyright Seia 2017-09-01 15:58:13
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