むらさきせかい
本木はじめ

形状を記憶しているつもりなら今すぐ夢の断片ひろえ


轟音の低音ベースが鳴る部屋で無音のきみがほほえんでいる


失った真夜中ひとり花園で紋白蝶を両手で潰す


密葬す巨大な木々に囲まれてむらさきせかいに降る雨は白


もう二度と咲かない花もあるんだねきみの笑顔がとても眩しい


春のよる寝間着姿でふらふらと三途の川辺を散歩しようか


鉄棒に腰掛けふたり夕空にみつめられてるそんなおもいで


菊の花に埋もれてか細い呼吸するあなたがわたしの影であるとき


浅はかな夢を見ました僕はもう朝から晩までおやすみなさい





短歌 むらさきせかい Copyright 本木はじめ 2005-03-12 19:39:28
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