独楽 ― 立原道造「逝く昼の歌」に寄せて ―
Lucy

まわり続けていれば
倒れずに
ほそい息を繋ぎ
うたうことさえできそうで

こころなくして
忙しくまわり続けていられさえすれば
支えてくれた背骨の芯も
とうに抜け落ち
まぼろしだけだと気づいても
なんとか立っていられるでしょう

 
私はここにこうして立っている
 岬のはずれの岩の上に
 荒らぶ海の歌に耳を開いて
 海は波は単調などぎつい光のくりかへしだ


風も
汗ばむ頬には時に優しく

深く考え込んだり
よく思い出そうとしたりしなければ
何とかして
捨ててきた日々と
 愛していたものたちを

憎もうとなんてしなければ





自由詩 独楽 ― 立原道造「逝く昼の歌」に寄せて ― Copyright Lucy 2017-08-28 20:01:58
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