捨て石
黒田康之

捨て石を書こう
ほらこんな形
見てごらん
ありふれてる
どこにでもある



誰かが、
僕が
君が



石を投げる




土煙
草の根
花びら
しもばしら


石は落ちる

知っているのはわたし限り

犬が
とおり
猫が
歩く

雨が
(何度も)
流れて
土塊が
何度も降って

また誰かが
石を捨てて

手掛かりにつながって
過去を打ち消す
バランスで
ここにあって

誰かが
思い出のために
生きていた
記録に
柱を立てて
住み始める

縁もゆかりもない
僕が投げた石は
そいつの暮らしを支える



自由詩 捨て石 Copyright 黒田康之 2017-08-27 01:23:26
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