てんてきのひと
北井戸 あや子

てんてきのひとの下を肢体が運ばれる
てのひらに濾過された空ばかり残る
てんてきのひとの上で黙るのは蛍光灯
だけではないという、ひとは
そっと告げた

やはらかに遺されて読めもしないことばは
指先で
てんてきのひとをかなしむだけの猶予は


自由詩 てんてきのひと Copyright 北井戸 あや子 2017-08-21 01:46:37
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