スクロール
noman

画面の外の半分は淡い光で
覆われていた
手を洗いながらずっと
考えていた
冷たい風が金属製のゴミ入れを擦るときの
音のことを

スクリーンの前には誰もいない
ついに解くことのなかった結び目を
目線より高い位置に置いて
海が見えなくなるまで
歩いた
歩幅はどうしても揃わない

薄皮のような夜空に
下弦の月が静かに溶けて
いく   書き換える
必要は無いのだろう
静かで
美しくありさえすれば


自由詩 スクロール Copyright noman 2017-08-20 20:09:48
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