movie
ayu-m
気が引ける僕の手をひっぱって
闇の中に浮かぶ大きな四角い白は
両腕を箱と椅子に変え
僕の心をドルビーサウンドで
鳥肌のひとつひとつをひっぱってみたり
背筋の真ん中を
折れた様な針の先でツウリとなで上げたり
するのだ
激しいカーレースの後に
パイプを分け合う兵士たちの手元が
確かに握りしめたカクテルを
フレアバーテンダーは華麗に
アイシャドウを黒くまたたかせ
ミュージカルの舞台は広がる
ロキシーの唇といったら
まるで マリリンモンロなのだ
そして僕は現在に戻ってきて
ほっ と 息をつく
まるで夢を見ていた様な
四角く白い部屋に帰ってゆく