お付き合い
ふじみやこ

ある男と女、付き合っている
形式上はその通り正しいでしょう

男と女がお互いの好意を確認して、
距離を近づけた

でも男側はどこか冷めている
女側の顔に惹かれていない

男は一時の快楽に身を任せて
その場で好意を捏造し、距離を近づけた

惹かれていない顔が近づくことで
ストレスがかかる
圧迫 苛立ち 憎悪

男は顔を背け、その流れのまま
周りを見渡す

女は男の好意と、距離を近づけてくれた事実を
丸々信じ込み
男が好みそうな髪形にして、感想を聞き、
愛されていると信じ、男の胸に飛び込む

男は後悔する
いつまで捏造を続けないといけないのか
離れたい 離れたい
周りを見渡す

遠くに本気で愛することができそうな女を見つける
そこに足を運ぼうとした時に
別の女がこっちを見ている
本気で愛せそうにない女が

一時の快楽
捏造が始まる

顔をちゃんと見ないから
女達がどんな表情をしているか
はっきりとわかることがない

女は安易な信じ込みから
男の胸に飛び込み
顔を見られていないことを知らず
愛されていると思い込む

心のこもっていない好意
信じ込みでつくる虚空の愛

虚空の愛に気付き泣く女がいたとしても
そんなものは男からすれば関係ない
また新たに、また新たに
地球が回っているように

近い距離近い距離で
捏造に捏造を重ねる

離れた所から見ると
それは気持ち悪い光景

この光景を遠くから見ていた女は
男から常に離れるよう心掛ける
男は泣く
女は手の届かぬ遠い円の外に

涙が枯れ、
自身が枯れるその時まで
円の外を見ながら
内で捏造を繰り返す


自由詩 お付き合い Copyright ふじみやこ 2017-08-18 17:20:00
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