みついろの舟
むぎのようこ



みつばちのささやかな羽音に
ひかりが絡まる
かけてはうだる夏のあかるみに
みせびらかした琥珀色
やわらかな土を踏みならし
踊ったあしもとに
すこやかな針をさしとおしては
はれあがる木陰で
錨をおろした

あれはなんの実りだろう
まるい影をおとしても
もう
これ以上熟れようもなく
くちてはさみしい
秋の口がひらきかけの
うれいを
こぞってわけあたえても
土をいやすだけ
とおいきせつのにぎわいを
まぶたに焼いている

わたるとき
ひそかに口ずさみ
あとずさるひかりを
手繰って
やわらかに編み込まれて
仕舞ってはみおくる
季節にみつのきらめきを
降らす羽音はとおく
とおく鳴る








自由詩 みついろの舟 Copyright むぎのようこ 2017-08-17 23:53:31
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