外側の心臓
ミナト 螢

恋に破れた少年少女が
涙を飲んで登る坂の事を
心臓破りの坂と呼んでいる

桜の花びらが頭の上で
残念賞の冠を作り
渡しそびれた手紙を破ったら
季節外れの雪が降るらしい

好きですの一言が駆けて行く
セーラー服の白線みたいに
交わることのない明日は嫌い

君を相手に坂を登った人
今までどの位いたんだろう?

心臓破りの坂は昔は
マラソンコースの途中にあった

胸がドキドキするのは久し振りに
スタートラインに立ったからだ

鼓動の音を聞いて貰うために
心臓が外側にある気がする
答えを言わずにそっと抱き締めて
瞼の裏で盗んで欲しかった


自由詩 外側の心臓 Copyright ミナト 螢 2017-08-14 13:19:25
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