ヒヤシンス


 涙は溢れ、暮色に触れて、花と為す。
 鷺は佇み、川面は艶やか、凛と為す。
 石は固く、蜉蝣の舞う、誰が聞く。
 風が立ち、影は霞、泡沫の夢を見る。

 夢亡き後に山は燃え、心に映る。
 風泣き後に雲は漂い、雨が降る。
 彷徨い人は途方に暮れて、天を仰ぐ。
 闇の主現れ、風見鶏は歌う。

 宵の明星、揺蕩う船を照らす時、
 漏れる吐息に血は交じり、
 赤銅色の羅針盤、カラカラ回る。

 見えない努力は空しく揺れて、
 遥かなる土地に向け狼藉を放つ。
 ただ我が身は鬼神の如し。
 

 


自由詩Copyright ヒヤシンス 2017-08-14 02:35:27
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