暗渠 ankyo
藤鈴呼


流された夜に
静かに呻く唄は
仄暗い水路に
ゆるやかに隠され
存在すらも
不確かな 憂鬱

トドメは 鈍色の刃で
煌めく 星の瞬きより
深く 突き刺さるよう
凍る季節を待ち侘びて
鍵を待つ
扉は 占めたまま

マヤカシ柄のトランプを弾く
ゆっくりと 永遠に続く合いの手
パチリと置かれる碁石の色より不確かな間

閉ざされた石の隙間に
蠢く 深緑の苔
うるるの季節は もう過ぎた
白い飛沫の影だけが
ゆっくりと 笑う

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自由詩 暗渠 ankyo Copyright 藤鈴呼 2017-08-11 13:41:50
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