白夜の終わりを照らすひかり
竜野欠伸

1.墜ちた小さな太陽

白夜には子供たちが
祭典に訪れる黄昏があったとして
平和が続く夜空に
祈りを捧げていたばかりでした
かつて遠い昔
世界大戦で投下された
広島と長崎では
人間たちが造った
小さな太陽が墜ちて逝きました
残酷な真夏の陽差しによって
焦げて焼けただれた骸たちを
すでにかつての少年たちが
哀しい力を振り絞って抱いていたのです
今年も遠い世界の科学者からですら
骸になった死者へ被爆地へと
黙祷の手紙が
届いていたばかりでした

2.分断をされる極東の半島

小さな太陽が墜ちてから
かつて白夜のもと
隣国の半島では
大国を巻き込んで
代理戦争が起きていました
ちょうど極光が海を越えて
大気圏と宇宙を分かつようにして
軍事停戦境界線より北側には
まるで天空に耀く北極星を信仰するように
同じ血族による支配が
北半島国家で生まれていました
境界線より南側には
まるで白夜による祭典を信仰するように
民草の自由を尊ぶ
南半島国家が生まれていました
ひしめくばかりの導火線によって
極東の半島はほぼ完全に
分断されているのです

3.ケンタウロスが携える黄金の弓矢

永く続いている白夜のもとでは
射手座の近くで耀くだけではなく
すでにケンタウロスには
天空を往く途中で
黄金の弓矢を運んでいました
ケンタウロスは人馬一体の幻獣として
小さな太陽できた弓矢で狙いを定めるのです
人間のような上半身は
アメリカ人にも似てる逞しい風貌です
遠い宇宙でも疾駆のなかにある
馬体のような下半身にみなぎる体力には
社交的な日本人の
清らかな血と汗が流れています
白夜の幸せを祝福する祭典は
世界で平和を誓う
民草による税収で賄われているのです
切実な白夜を守護する
ケンタウロスは
日米同盟の似姿でもあるのでした

4.北極星による天球の報せ

北側の半島国家では
三代目の暴君が君臨をしている時代に
小さな太陽を使うことができる科学により
白夜の世界を恫喝しようとする
北極星からの天啓があったようなのです
統治者の独断による核実験が
半島の海を越えることを報せていました
隣国でもある日本の核被爆地であった
広島上空を通過して
白夜の世界を見張る米領グァム島に
火星型ミサイルを射出しようとしている
暴君の意向は本日再び
傍受されたばかりでした

5.暗夜のはじまり

きっと安全保障に関わる防衛記録とは
何処かに隠匿されているでしょう
いずれ白夜の世界は
終わりを告げることでしょう
暗夜のはじまりにも
やはり暗闇を照らす
ひかりはあるのですから
火星型ミサイルを撃ち落とすためだけに
暗夜を往くケンタウロスが
弧を描く黄金の弓を握りながら
小さな命を守るため北極星の幻影を狙い
漆黒の矢が放たれるとき


自由詩 白夜の終わりを照らすひかり Copyright 竜野欠伸 2017-08-10 12:44:32
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