麦わら帽子
ガト

田舎の
海辺の町は

夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる

古びた町並みは
時代に忘れ去られ

潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む

人も少ない真っ青な海

海の家の
日焼けしたおじいさんに

「きれいな海ですね」と話しかけると

「もう今日、明日で終わるわ」
と笑った

夏が幻のように過ぎていくのを

おじいさんの
麦わら帽子の向こうに見た


自由詩 麦わら帽子 Copyright ガト 2017-08-07 00:37:00
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