摂理
寒雪

乾いて
皮膚が焼けただれた
地面の上
噴出しては
血飛沫に埋もれていく
生命の後先に
ぼくは囲まれて
右にも左にも動けない


見上げても
見下ろしても
ぼくには
心臓を象った
丸い血管の束だけが
赤く焼き付いて
ぼくの脳裏から
離れてくれない


足元に
ほんのわずかだけど
いつの間にか
小さく赤い穴が
瞬きしてるうちに
それは
広がって
ぼくの肩幅くらいに


両足を
必死に広げても
ぼくだけが
抗えるはずもない

よくよく考えてみれば
抗う必要もない
そういうこと
なのだと
急に腑に落ちた


これは
摂理なのだと


自由詩 摂理 Copyright 寒雪 2017-07-26 17:32:26
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