いちねんまえのきょうの夜中
吉岡ペペロ
いちねんまえのきょうの夜中の出来事を
ぼくのこころは
毎日三十回くらい思い出している
日々葛藤している
日々価値観を試されるような出来事ばかりだからだ
ぼくはぼくの価値観を手放すことに失敗している
手放したところで
なにがあるというのだ、ないというのだ
この世に生まれたとき
どこの国で生まれたとか
どんな家庭に生まれたとか
運動能力や頭の良さだとか
生まれもった性格にしても
スタート地点からしてみんな差がある
それを忘れて努力が足りないだとか
モラルだとか普通はだとか
自己責任の話にすり替えて
あるべき姿を吹聴しているぼくがいる
いちねんまえのきょうの夜中の出来事を
ぼくのこころは
毎日三十回くらい思い出している
日々葛藤している
日々価値観を試されるような出来事ばかりだからだ
ぼくはぼくの価値観を手放すことに失敗している
手放したところで
なにがあるというのだ、ないというのだ