再会
哉果


また同じように見晴台のタイルの上で君とミルクを分け合いたい

 忘れないように!

ひかる憂鬱を
輝かしい絶望の日々を覚えている


道に転げている猫、暑い
 永い、太陽は北に


ここがどこだかは わからないけれど
呼吸の気配が街に、洗濯のひと、充満している

今朝包帯が透ける赤い塔、蓮のてのひらが包む

腹と腹の間で潰された果汁の粒がまだ首筋に張り付いている、取れないよ、瑪瑙の爪先に溜まる垢に

鳥除けの電燈が人間を好きみたい

目に見える歌は持ち運べないから、それは重くてどこへもゆけないから

このげんじつに唯一の、きみとわたしでわけあえる最愛


虫をたべる歌があるの

覚えていなくてもいいから 思い出すために忘れられる出来事


裸足で歩いてゆけたらいいね、それは痛いから?寒いから?皮膚が剥がして自分の細胞を捨てて帰る、ここで大きくなれたらいいのにね

噎ぶボラたち わたしにはおとうとがいたような気がする、透明なくつしたを履いた

この先を曲がると養老院に続いていて抜け落ちた歯が道を白く敷いている


ああ、手が塞がっているから祈れないんだね
ナナフシを殺す夢で会った気がする、それとももっと別のまどろみの高台で


明日の絵日記に忠実に歌いましょう
またどこか、日々に。



自由詩 再会 Copyright 哉果 2017-07-20 14:25:27
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