梅雨時のアイスコーヒーに想う
st

蒸し暑い梅雨時は アイスコーヒーに誘われて
そぞろ歩きで思い出の 海辺のカフェテラスへ 
  
グラスについた したたり落ちる水滴が
キラキラ光り  ささやきかける

それは遠い記憶の  忘れたはずの
愛の物語り

近づくと 新鮮な豆の香りがたちこめて
いやなにおいを 忘れさせてくれる

ときおりみえる青空に 真夏の太陽は輝き
地平線の彼方を行き交う船を ぼんやり眺めている

そうあの時も こうしてあなたを待っていた
海辺のカフェテラスで待っていた

かけがえのない愛の記憶がよみがえる

砂浜に散りばめられた 記憶の断片たちが作り上げる
蜃気楼のような世界がゆらめき  時空の扉を開く

そこには あの時のままのあなたが見えるけど 
私はいない------  私は今 老いてここにいる

涙があふれだして  
グラスについた 
したたり落ちる水滴とともに
落ちてゆく



自由詩 梅雨時のアイスコーヒーに想う Copyright st 2017-07-19 16:37:02
notebook Home