レクッカラ
斎藤秀雄

     あの彼女の感謝、    あの彼女の謙虚さ、
     あの彼の郷土愛、
     そうしたものが  ひけらかされているとき、
     あの人たちには
     ともだちがいるんだって思った。

     欲望の対象を盗まれて   いる感じがして、
     惨めな気持ち、        たいせつに
     あつかわれていない感じが
     さみしさや憎しみを惹起した、と
     いうわけじゃないんだ、

     と君は思う。       そうではなくて、
     欲望の原因が盗まれて
     いるのだと。
     雨は不規則に跳ねるから、    好きだよ。
     曇りは雲の白い部分と       灰色の
     部分のまじりあいがいいよ。

     快活さは死ねっていうと     死ぬから
     そんなに敵じゃない。
     悼むことをやめ、ともにあらねばならない。

              (喪の挫折リミックス集)


自由詩 レクッカラ Copyright 斎藤秀雄 2017-07-17 00:33:03
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