未完のソルテ
ハァモニィベル





背を向けて一人の男が寝ている。
一言の口も利かず、黙って、
かなり前から ずつと、
長い ながい時間
心はうたっているのかも知れない 
新しい悲しみを

そして
南極星の眼をひらき  孤独と晩餐を共にして、
色あせぬ唇で 音もなく核(たね)を 噛みくだく

風の死んでいる熱帶の岸辺に  
流れ寄る息が よろめきながら なんと云うさびしさで 

ひどく、なゝめに 強く傾むく…

葉影に、灯が一つともるたび
なにもかも そこに 
見出してしまいた気に

砂丘の上に生えた美しい寂しさを
果てもなく転がしていく

椰子の殻に詰めた爆弾と伴に

 驟雨のような火焔樹

のしたまで





自由詩   未完のソルテ Copyright ハァモニィベル 2017-07-15 19:54:18
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
プチ企画作品または制作時工夫のある作品