朝の光景
ひだかたけし

道端で色褪せていく
この盛夏に色褪せていく紫陽花よ
アゲハ蝶がその繊細な触角を動かし
咲き誇った花から花へと優雅に飛び廻る時
あの青々と濡れ光っていたおまえは
早くも凋落の一途を辿っている

公園のベンチに座り
ヘッドフォンを耳に煙草を吹かす若者
その前を
杖をつきながら通り過ぎる痩せ細った老婆
 
風、吹き抜ける
俺の背後から
風、浴びる
首筋の私

広々とした公園の端の遊具は赤青橙
遊ぶ子供がぽつんと一人、
緑に囲まれ 今日を生きている
生き生きと独り。


自由詩 朝の光景 Copyright ひだかたけし 2017-07-13 11:10:53
notebook Home 戻る  過去 未来