そういう生き物
そらの珊瑚

猫の喉奥から
小さな雷鳴が聴こえる
やがて
雨が降ることだろう

さみしさを埋めようとして
猫を飼うということを
怒っているのかい、

六月の保護色みたいな灰色の毛は
なでられるままにされている

喜んでいるのよ、それは
猫ってそういう生き物だから


それの真偽は確かめようがないし
知ったところで世界は変わらない
わたしは人間だから
浅はかな女だから
さみしさは埋まらないことを
知らないふりして
猫を欲しがっている

猫は
身のうちに空を隠している
そうして時折飛行機がゆく
激しい夕立のさなかにあっても
(やっぱり降り出した!)
果敢に
ほら
喉奥辺りに
飛行機がゆく音が聴こえる


自由詩 そういう生き物 Copyright そらの珊瑚 2017-07-10 15:05:06
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