ラジコン/壊したアンテナ
桂
ラジコン/壊したアンテナ
様々な人間の思惑
力を持つ少数の人間の企みが
電波のように飛び交うこの世界で
一人素直にアンテナを張ってみても
ほら今ここに何故いるかも説明できない哀
れなラジコン
「素直で物分りがいいね」なんて操縦者に褒められたところで
ほら次に右足を出すか左足を出すかすら
自分で決めれない哀れなラジコン
それぞれの操縦者が出す真逆の命令や
腹の中で腸のように絡まる矛盾
スマホの中で生気のない情報が
僕の思考回路は容量を超える
バグを起こした僕は
馬鹿みたいに真っ直ぐ立っていたアンテナを折った
それを見て怒った顔をする人もいれば
呆れた顔をする人も...
でも一番驚いたのは
そんな俺に笑ってhugしてくれる人がいたこと
ゴトンという低い音と共に入ったswitch
前のオーナーが言う「昔のお前の方が良かった」
「あっそう。それなら良かった」自分の口からでた返事に耳を疑った
「良い奴なんてたいてい都合の良い奴だろ」
唇はいつもより軽く そう吐き捨てた後 笑ってhugしてくれた人を探して海を見に行った
何故なら今俺がこの人と海が見たいから
二人で手を繋いで海を眺めながらゆっくりと浜辺を歩いた
時々空を見上げては誰かに操作されていないことを確認しながら...