流転
ヒヤシンス


 花弁が散り際に吐いた赤い呪縛。
 自由は青い額縁の中にある。
 生き苦しさには最良のグレーを捧げ、
 人生の愉悦は黄色い生物の口の中。

 理解を包括した若草の懐にはナイフが隠されている。
 生を楽しむデモンストレーションには吐き気をもよおし、
 白樺の木に隠された暗号を読み解く。
 器官に入った水滴だけが水色の夢を見る。

 赤茶色の珈琲に人の目を気にする位なら
 死んだ方がましだと嘯いても、結局今日も生きている。
 死ぬ勇気もないくせに一人で悦に入るのは華麗な異邦人。

 さすらう異邦人に真っ赤な道標を与えれば、
 砂漠の真ん中に咲き誇る一輪の花が行く手を遮る。
 そしてまたその花弁が散る頃に訪れる輪廻の呪縛よ。
 


自由詩 流転 Copyright ヒヤシンス 2017-07-08 03:51:21
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