措辞よりも
斎藤秀雄

          クラフトワークで踊るための墓場。
                   詩とモチーフ。
            詩集を読みながら、マルとか
                バツとか、徴づける。

     「渋谷の街」
                  にはバツをした。
                 とたんにその詩が
                ゴミみたいに見える。
        ゴミだから素敵だという話ではなくて
                   つまんないし
                   詩的な効果が
                 減衰しているから
                  ゴミだという話。

     「巨乳」
                        に
     「おほちち」
                        と
                     ふりがな
                        が
                  ふってある俳句
                  にはマルをした。
                  高橋睦郎の句だ。
            高橋睦郎は母子家庭で育った。
                 ゲイだったはずだ。
                「父母心經」という
                      二一句。

           新人作品の選者をしている詩人
                     の詩集は
                 バツばかりだった。
     「親切な鬼」
     「残酷な神様」
               にバツをして赤面した。
     「太陽がみるゆめ」
                  にはマルをして
     「中央線」
                  にもマルをした。

                    もっと単語
                  を、措辞よりも。


                  悼むことをやめ、
              ともにあらねばならない。


     (喪の挫折リミックス集)


自由詩 措辞よりも Copyright 斎藤秀雄 2017-07-06 23:54:23
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