陽はまた昇る
坂本瞳子

うつ伏せになって
顔を枕に埋めて
声が漏れないように
大きく口を開けて
枕に押し当てて
全身を震わせて
止まらない涙を
枕に吸わせてやった

それでも朝が来ると
仰向けになっていて
両目が腫れ上がっていて
涎も垂らしまくっていて
両手と両足を大きく拡げていて
昨晩震えていたのは誰だったのかと
自ら疑問に思うほど
晴れ晴れしい朝が来ていることに
どんなに嫌気を覚えただろうか

鏡に目をやると
肩の長さで跳ねた髪が気になる
水で濡らしても内側に丸みを帯びることのない
このひと束をいっそ切り落とそうかと思うほど
苛立たしさはこの上なく
それでいて腫れ上がった目蓋など
もろともせず
朝食などは端から採る気などなく
こうやってまた平凡な一日が始まる


自由詩 陽はまた昇る Copyright 坂本瞳子 2017-07-06 00:04:07
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