六月
葉leaf


雨が響いている
六月には刃先が疲労する
四月と五月の春の息吹に
消耗し尽くした空は
悲しくもなく泣き始める
大きな思い出は錯乱し
小さな風景はたるんでゆく
雨が谺している
六月には刃先が研ぎ澄まされる
時代の筒の中を雨音は反響し
一人一人が鳴り響いていく
雨を奪うものが
雨の憂鬱を攫うものが
この六月の帝王だ


自由詩 六月 Copyright 葉leaf 2017-07-05 04:11:35
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