パターンΩ
秋也

殺して殺して滅ぼして
滅ぼした後に悲しみとともに称え
たまに罪を省みる

殺して殺して勝ち取り敗者を端に追いやる
むさぼりむさぼり吸い尽くした後
端の敗者を見つめる
またいいもの持っていないかな

生かして生かして増えすぎて
途方にくれ
やっぱいらねえや
兄ちゃんたち出て行ってくれ
狭くて窮屈だから

こんなはずじゃなくて
こんなことをしたいわけじゃなくて
こうなりたいはずなんてなくて
無くなったり失ったら本当に悲しいこと知っているのに
いつもこんなパターンだ
飽き飽きしているはずなのに

リアリズム
ニヒリズム
芥川先生
バビナール中毒
ヒューマニズム
何時だって言葉と先生はたくさん生まれるのに

僕はソファーでTVを眺めている
両脇に男の子と女の子
「飛行機がたくさん乗っている大きな船だね」
「この大きな船と飛行機はどこに向かうの」
「たくさん殺して、少し死んで、多くを亡くすのかな、お腹いっぱいになるため」
答えられず涙も流さず
両脇を腕で寄せ震えずに
二人を数秒抱きしめてみた

人の体温という温かみさえ感じてもらえれば
それが僕の精一杯だ
悲劇は誰も繰り返したくないはず


自由詩 パターンΩ Copyright 秋也 2017-07-01 02:34:51
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