世代論
ただのみきや
――水脈を捉え ひとつの
薬湯のように甘く
饐えて 人臭い
廃物の精液
輸入された
どれだけ銭を洗っても
どれだけ子を流しても
粉ミルクを溶いて
飯を焚いて
油膜に浮かぶ幻は
死者も生者も選り好みしない
排他的寛容で
呑み込んで
流れ 流れ ナガルル
大蛇文明の
赤銅色の細波に
あやされながらゆがむ顔
顔
顔
顔 顔 顔顔顔顔顔顔顔 顔
顔
顔
顔
吐き戻したくても
洗濯機が
リピートする
主語のない
押し花にされた
ヒトたち
焦げ付いた念写
増殖するハーモニー
視線から突き出す曲った金属片
嗚呼青嵐の自死同盟
全ての文字を剥ぎ取られた
あの知の愚鈍なのっぺらぼうを
発育不全の指で執拗に犯せ
甘やかされたことを自慢して叫べ
朝明けの小舟の上で
二つの腐乱した月が
眠らない
眼球
魚
魚
魚
魚 魚 魚
魚
みんな酔ったがみんなじゃない
亀裂の役目を負った者たち
同
時
多
発
的
発(赤)狂
吐 血として シタタル 芸術文化
タ
リエルか 舌足らずの
夜肌に墨を刺し
倒れ
壜は 寓話か
らっぽ の
選ばれた
必然として
生贄は
天才は
本物だったか
偽物だったか
鈍い音 かぎ裂き 断絶の
小面うふふ
盲目の弄りで
黒曜石のイマージュ
つけろ
傷を
傷だ
傷つけ
傷つけろ
傷 切れ
傷 切れろ
傷 切らレろ
傷 切らレヨミヨ
よ メ よ止まずに
快楽の包み紙をそっと破ル
腹いっぱいにナルナ誰も
羞恥ヨ
無事には帰すな
寄せては返す 人も泡も
傷として
烙印ヲ皮膚とせよ
時代の臍の緒だ
恩赦はない
無音爆破された空ビン
星降る肉体 灼熱の
めくるめく
煌めきの回遊が
肉を喰らう肉にすぎない者たち
涙も小便も赤い
平和を心底憎んでいるかのような
書きかけの死を
投函せよ過去へ未来へ
愛も憎悪もプラスチックの
あれはよくできた甲冑で
人型の
なか身はSF
古き良き時代の未来
字幕を横切る
蝶
軽いステップで
おまえから抜けだした
ひどく憂鬱な日に
雨を降らせる音
の配置
見えない 雨漏りを
脳は見た 天井画を描きながら
おまえの脳は
だまし上手
騙され上手
恐れなくていい
理解という誤解
誤解という理解
気分だけの――
《世代論:2017年6月21日》