砂流時
秋也
砂漠に埋もれる柱時計
風にまかれて
砂まみれ
カラカラの蜥蜴
時計のてっぺんで体温を上げる
振り子は動かず
蜥蜴も動かず
砂だけが動く
分針も時針も動かず
埋もれながら
止まりながら
それでも時は過ぎていく不思議
何も変わらない風景
鴉一羽
黒くて暑かろうに涼し気に
暖取る蜥蜴パクリと咥え
むさぼり去る
ボーンボーンボーン
ここではないどこか
遥かに時を告げる音が聞こえる当然
気づけば真っ赤だ
日が巨大に傾き揺らぎ落ちて燃える炎
誰が捨てたのか
風が埋めたのか
砂漠に柱時計
ひたすらな風景を望むままに
赤く止まった時が渇く渇く