砂流時
秋也

砂漠に埋もれる柱時計
風にまかれて
砂まみれ
カラカラの蜥蜴
時計のてっぺんで体温を上げる
振り子は動かず
蜥蜴も動かず
砂だけが動く
分針も時針も動かず
埋もれながら
止まりながら
それでも時は過ぎていく不思議
何も変わらない風景
鴉一羽
黒くて暑かろうに涼し気に
暖取る蜥蜴パクリと咥え
むさぼり去る
ボーンボーンボーン
ここではないどこか
遥かに時を告げる音が聞こえる当然

気づけば真っ赤だ
日が巨大に傾き揺らぎ落ちて燃える炎
誰が捨てたのか
風が埋めたのか
砂漠に柱時計
ひたすらな風景を望むままに
赤く止まった時が渇く渇く


自由詩 砂流時 Copyright 秋也 2017-06-20 02:05:02
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