六月と手口
ただのみきや

風のグリッサンド
娘たちのうなじ
蜜蜂の囁きと遠い銃声
耳の奥 深く 深く


雨のアルペジオ
素早い波紋のダンス
生まれ 出会い 干渉しあう
飛べなくなった蜜蜂は冷たい


並べて重ねた箱の中
切り取られた死体
それとも空っぽか
クレマチスの絡む休日に


いつもおとなしい良い子
ひとり人形を吊るす
ごっこ遊びは飾らない本性
木々は深く 陰影は濃く


硬く対峙する裸婦像
一瞬も静止できない噴水
揺らぎ 煌めき
触れてもなお愛は錯覚する


青い無伴奏
帰る指を失ったリング
記憶媒体の功罪
獏の無意識のはらわた


論じることと乖離した
遊戯という手口
素早く捲れる白紙のページ
同じ欠片を秘めた誰か




          《六月と手口:2017年6月17日》







自由詩 六月と手口 Copyright ただのみきや 2017-06-17 13:49:19
notebook Home 戻る  過去 未来