月とスッポン
シャドウ ウィックフェロー

最近は とかいっても
それが何週間なのか何年なのかも
判然とはしない今日この頃
近頃はとくに考えがどんどんと
抽象的になりがちなもので
ここはひとつ具体的にものごとを
考えねばと思いたった


それで月とスッポンほど違うものを
ひとつあげよという質問を思いついて
自分で答えを探している


そもそも月はスッポンよりも
なぜ素晴らしいのだろう
月は綺麗だけれど
絵にかいたモチのようなもので
食べられもしない
スッポンは奇妙だけれど
噛みついたら離さない強さをもち
滋養のあるスープがとれる


私の心の沼には
きらきらと水面にまでおよぶ月の引力に
力いっぱい首をのばして
応えるスッポンがいる


月は決して手に入らない
あこがれの対象として
スッポンはあくまで具体的な
活力の象徴として
ともに人をつき動かす
ふたつの力の源


月とスッポンほど違うもの
たとえばそれは脳とペニス





自由詩 月とスッポン Copyright シャドウ ウィックフェロー 2017-06-16 01:03:29
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