よく似た朝
伊藤 大樹

かなしみが沈殿している朝に
パンを焼いた
手紙を書くふりをして
貝を
捨てました

散乱しているおびただしい私の破片
混乱の果てに
肉体の死が訪れたら
今度は
何を捨てたらよいですか

貝を捨てた朝に
もういちど目覚めるために
粛々と
ねむりつづけ
死の速度に追い抜かれないように
粛々と
また
捨てつづける


自由詩 よく似た朝 Copyright 伊藤 大樹 2017-06-13 18:54:04
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