紫陽花の坂
星丘涙

繰り返される日々の中で
身も心もすり減ってゆく
紫陽花が咲く坂道を駆け下りる
雨色の風が頬を撫でる

ここまで生きてきた
どこまで行くのか
わからぬまま
歩く

蛍火はなつかしく揺れ
故郷へと誘い
夢うつつに
絹の夜がわたしを包む

夏を待ちわびる歳でもない
ただゆっくりと夏の訪れを眺める

校庭の隅
優しい雨に濡れ
咲いていた紫陽花
あれは
はるか遠い道

故郷は何処に行ってしまったのか
帰りたい
帰れない
あの故郷

今日も紫陽花の坂を下り
雨色の風に吹かれ歩いている


自由詩 紫陽花の坂 Copyright 星丘涙 2017-06-12 18:44:32
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