見えなくなったもの
梓ゆい

ここに来れば対峙をしているようで
いつも以上に背が伸びた。

ひときわ目立つ大きな墓石
古びた見た目に見劣りしない文字が刻まれている。

元師陸軍大将の墓

駒ケ岳を見下ろす丘の上
今日も季節の花に囲まれて
通学バスから降りる子供らを
農作業に精を出す腰の曲がった老婆を
無言で見守るあなたのまなざしには
少しずつ不安定になってゆくこの国の何が見えているのでしょうか?

夜も深まる永田町
国会前へと集まる人々の遥か遠くでは
ランドセルを背負う子供らが
今日も元気にはしゃいでる。


自由詩 見えなくなったもの Copyright 梓ゆい 2017-06-08 09:29:58
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