30
まきび

カラフルなタイルをしきつめた
ハート柄の遊歩道をふみしめて
表参道から代々木公園まで
いつまでも人の声 車の音
夜風にバブルのか・お・り

帰りたがっているのは30の
いいえもはや40中盤の
かつて札束をにぎりしめて
タクシーをとめたという人たち
見渡すと若いカップルと
きちんとした背広の白髪の男性

安っぽくて 派手で
まったく真実味もなく
回らない鮨屋のカウンターで
こどものわたしと母と父
毎週末どこかの遊園地へ
アー理想的なしあわせ家族
シャンパンの中ではじける小さなバブル
なーんちゃって

いまわたしが30になったとき
バブルのか・お・りをかいでみても
現実は無味無乾燥 四角四面
おまけに金はないので徒歩でデート。
空のタクシーが何台も通り過ぎて
アーほんとに不景気 いやんなっちゃうわ
車も人も自転車も ついでに犬もいっしょくた
まるでうまく共存できているという
デモンストレーシヨン?

あの頃に帰りたいだなんて
チンケに聞こえる
いまの方がだんぜんいいって
洗練されてて スマートだって
みんなそう言ってる
ううん お金のことじゃないの
でもさみしい。



2017.5.19
20:56


自由詩 30 Copyright まきび 2017-05-19 20:53:29
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