きっとキット
もっぷ

東の 海辺の桟橋からは見えない 孤島の白い砂浜
そこに蹲って少しだけ 泣いてみたことがある
二月の 私がまだ 一人のあたしだった頃
夢みるように

泣いてみたことがあるよ
という実話を念入りに壊して
きっと
キットにして あなたに送りたい

だから帰る 今日はもう帰る さよなら
さよなら は平仮名わずか四文字
計り知れない重たさの

ドアを閉じる 瞬間 まぶたに焼きついた
あなたの部屋のカーテンの色の名を
あたしが決めたい



自由詩 きっとキット Copyright もっぷ 2017-05-16 02:15:32
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