柱時計
吉岡ペペロ

お寺のよこの石段をのぼりきると我が家がある

父はもういない

母と姉ふたりとあたしで住んでいる

柱時計のある居間で夕げを囲んでいる

ここではない何処かから

過ぎ去りし日々を見つめているような錯覚をおぼえる

楽しくて悲しくて

愛しくてあたしには孤独とか見えなくなる


焼き魚やお芋の煮っころがし

御飯や味噌汁

箸の音たわいもない会話

卓袱台が黒く光っている

永遠などない

柱時計が魔術の如く速く打つ


お寺のよこの石段をのぼりきると我が家がある

父はもういない

母と姉ふたりとあたしで住んでいる

柱時計のある居間で夕げを囲んでいる

ここではない何処かから

過ぎ去りし日々を見つめているような錯覚をおぼえる

楽しくて悲しくて

愛しくてあたしには孤独とか見えなくなる






自由詩 柱時計 Copyright 吉岡ペペロ 2017-05-04 22:55:31
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