同盟
自縛ポエトリー/うい

愛するものが死んだときには自殺しなければなりません
なんて言った詩人がいるそうですが あいにく私はそうとは思いませんね

なんてったってこの世の中じゃ行けども行けどもお先真っ暗
日は音もなくしずむ夕暮れ
きこえてくるのは 疲れて引きずる革靴の音
ため息混じりの諦めの声

街中見渡せばどこへいったって
おんなじ服着て おんなじ顔して
おんなじ言葉を おんなじように
おんなじテキを おんなじ振りで
おんなじように 傷つけてるのに
おんなじヒトに 産まれたくせに

平気な顔で傷つけて

おんなじ顔したやつらはみんな
おんなじような言葉をどんどん
違う口から吐くんです

「私のせいじゃない」
「やつに問題がある」
「こっちの言い分をきけ」
「みんなそうだから」
「冗談のつもりだったし」
「誰にでもある事でしょう?」

「そんなつもりじゃなかったの」
「そんなつもりじゃなかったの」
「そんなつもりじゃなかったの」
「そんなつもりじゃなかったの」
「そんなつもりじゃ...」

ってじゃあどんなつもりで言ったんだ!


それでは 我ら ひとりぼっち同盟 の 集会をはじめます
まずは 基本の3ヶ条の唱和

1、ひとりぼっちで居ることを自ら選んだ事実を誇りに思え
2、何者とも心かわさず強き信念を持ち孤独であれ
3、誰かと同じ行動をするな、群れるべからず

「あの、よろしいでしょうか?」
「すでにこのひとりぼっち同盟が第3条に反していると思います」
「この集会が群れる行為ではないですか?」
「言ってること矛盾してますよ」
「それって変ですよね」
「私もおかしいと思います」
「おかしいと思います」
「おかしいと思います」
「おかしいです」
「私たちと違います」
「異常です」
「良くないと思います」

気づけば同盟全員が
おんなじ敵を見つけた顔で
それこそまるでおんなじ顔で
おんなじ身振りをしながら皆で
おんなじように傷つけだした

おんなじ服着て おんなじ顔して
おんなじ言葉を おんなじように
おんなじテキを おんなじ振りで
おんなじように 傷つけだして
おんなじ言葉を吐き出す皆は
違うヒトなのにおんなじようで
人間なのに考えないで
傷つけた事に気づかずに
平気で生きる人々は
ブリキでできた兵隊だ

子供に蹴られて壊されて あっという間にぐしゃぐしゃに

そうして全員崩れていった そうしてなんにもなくなって

それでもどうにか立ち上がろうと
必死でもがく人々を

それでもなにかを守ろうと
たちむかいゆく人々を

余裕綽々踏みつけて おんなじ事を言うんです

「そんなつもりじゃなかったの」


自由詩 同盟 Copyright 自縛ポエトリー/うい 2017-05-01 01:24:38
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