ただのみきや

台所の窓辺に
葱だけが青々と伸びている
ほかの葉っぱたちは項垂れて
もう死にますと言わんばかり
葱だけが青く真っすぐ伸びて
葱好きではないけれど
すこし 
刻んでみたくなり 
ぱらりとかけてもみたくなり
なにかないかと
扉を開ける
いつも唸っているのに
妙に 静かで
一瞬死んだかと
そっと手を入れ
冷たさに安堵する
が なにも ない
見合うものがなにひとつ
台所の窓辺の
青々とした葱だけを刻んで
面倒だけれど
卵焼きか 
味噌汁か


             《葱:2017年4月26日》







自由詩Copyright ただのみきや 2017-04-26 20:04:06
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