さいはて公園のベンチ
そらの珊瑚
きのうの猫のぬくもりや
おとついの雨のつめたさや
ずっと前
ぼくができたてだったころ
たくさんの小さな人が
かわるがわる座ってゆく
にぎやかさや
お腹の大きな女の人のついた
深いためいきの匂いや
これから海を渡ってゆく
青い蝶の
空気みたいな身軽さ
いつのまにか
ぼくを通り過ぎていった時間を
たどってみる
頁の折り目を
やわらかくのばしながら
ここへ続いている
一枚のものがたりを
たどってみる
誰も来なくなった公園は
ひかり、あふれて
ぼくは今
明るいささくれをこさえている