擦れ違った空気の分だけ
藤鈴呼


寒い冬だから
おしくらまんじゅうをして
楽しんだ

外を舞う 雪の代わりに
笑顔 沢山 舞い踊り

迷っている 暇なんて
まるでない くらいに

服と服が 触れ合うと
摩擦力が 生まれて
ちょっと 温かい

ただ 手を 繋ぐだけでは
足りない 温もりに
身を 委ねて
また 笑う

あなたと わたしの あいだには
空気の層が 生まれる

目に見えなかった 透明な空間が
ほこっとした

存在感を 増して
当たり前のように
ありきたりのように

おざなりみたいに
置き去りになった

二つの 空気

空気砲の音とともに
すぽーん と
何かが 弾けた

跳んで行った
真冬の兎は 雪に埋もれると
見つけるのが 難しいのよ

涙で染みた 白いマフラーが
赤い耳を 哀しく 染めた

あなたと わたしの あいだには
この間まで あたたかかった筈の空気が
歪んで 取り残されていた

だからね
思い切り 息を 吸いこんで
吐き出してみた

白いばかりの 吐息が
ちょっとだけ 桃色に 染まった

もう直ぐ 雛祭りだから
仲直り しようか

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自由詩 擦れ違った空気の分だけ Copyright 藤鈴呼 2017-04-18 09:50:42
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