トルマリンとアズマイチゲ
mizunomadoka

惑星をつなぐ鉄道の中継地
真空チューブが
弦のように延びている

定刻をすぎても宇宙嵐で
発車の目処はない

電気石で火をつけて
炭素を吸う

外壁で散るホログラムの桜


ブルーシートで埋めつくされた
桜まつりの会場に
車椅子の父を押していった

学生時代のこの時期は
水で薄めた一升瓶を抱えていけば
食うに困ることはなかったと
笑った

雨降花を見つけて
摘むなよ雨天中止になるから



宇宙嵐に背を向けて
電子デバイスになった両親を
胸ポケットから出す

父さん母さんここはもう
夢だった宇宙だよ









自由詩 トルマリンとアズマイチゲ Copyright mizunomadoka 2017-04-15 00:55:07
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