舞踏連鎖
塔野夏子

君が踊れば
ほらもう舞台までもが羽搏きはじめて
宙へ舞いあがってしまうのだ
君の身体から
君の狂おしさがあちこちに飛び火して
つぎつぎ燃えあがってしまうのだ
ほら星々までもが
その位置を乱しはじめている
今宵踊ること
そのためだけに君が昂めてきたEnergy
その放射が
この時空をらんらんと輝かせている
その踊る姿の
抽象と具象をめまぐるしく反転させながら
この時空に君は乱反射する
やがてもう舞台は皆が仰ぎ見る祭壇
君はそこで
屠る祭司であり
屠られる生贄である
君という限りなく鋭いEdgeが
君自身に突き立てられる
君はこの世の他の誰も知らない激しい恍惚に身をゆだねながら
けれど誰よりも狂おしく醒めたまま――

ごらん
はるか宇宙のはじまりから
今この瞬間踊り終えた君に至るまでの全ての連鎖を
澄んだきらめきが走り抜けてゆくよ




自由詩 舞踏連鎖 Copyright 塔野夏子 2017-04-13 20:07:17
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