夜桜幻視
吉岡ペペロ

夜あるくにはこわい道だった

夜桜は昼よりも白くて

ふたりの歩幅はうそをついていた

お葬式のような桜のぼんぼり

好きだとはとても言いだせなかった

血を流したところを抱き締めると

ぼくたちはある晴れた日の休日の

午前のひかりの寂しさのなかにいた


きょう桜は散るだろう

なにかあなたに出来ることを探して

胸を焦がした

ぼくは機嫌よく胸を焦がしていた

きょう桜は散るだろう

風じゃない

空模様じゃない

ただそんな気がしていた


夜あるくにはこわい道だった

夜桜は昼よりも白くて

ふたりの歩幅はうそをついていた

お葬式のような桜のぼんぼり

好きだとはとても言いだせなかった

血を流したところを抱き締めると

ぼくたちはある晴れた日の休日の

午前のひかりの寂しさのなかにいた









自由詩 夜桜幻視 Copyright 吉岡ペペロ 2017-04-11 13:25:10
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