アングラモール
紋甲メリー

迷路の奥では 知らない男の子たちが
もぐらの毛皮のように折り重なっていて
僕は腐葉土を靴底に詰めながら
午後の取引がはじまるのをじっと待っている
JR代々木駅東口徒歩30秒
こんな時間から白昼堂々
露店商に扮した男の子たちは
冷めてもおいしい脇腹や 水気たっぷりのお尻なんかを
つつましやかに店先に並べ
ときおり試食までさせてくれるので
1500円の入場料はお値打ちもいいところ
昭和生まれの僕はもうすぐ
男の子ではないなにかになってしまうが
眼鏡を外してせめてもの若作り
穴の深さを鉤爪で探り
かわいい匂いのする方角へ
突進する、くるおしく身を丸めて
そうしてたどり着いた迷路の奥では
知らない男の子と
知らない男の子が
薄さ0.02ミリの羊膜に包まれて
仲良くまとめ売りされているのだ


自由詩 アングラモール Copyright 紋甲メリー 2017-04-08 15:45:55
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