原風景
鷲田

蒼い空気に舞う花弁
春の陽気は暖かく優しい
日常が姿を変える瞬間
冬と春の境目は見えない

季節と同じような
見えない感情に
僕等の喜怒哀楽は
今日も高速に進む

日々が過ぎ去るとは
幻の中で霧を掻き分け
沼地を踏みしめ
呼吸をしながら
前に進むことである

刹那の重なりが
喘ぎを発する
好奇心への没頭は
生き甲斐に煌びやかな装飾を与えている

世界からしたら点でしかない出来事に笑い
空から見たら塵でしかない出来事に悲しみ
宇宙から見たら粒でしかない出来事に怒り
彼方から見たら砂でしかない出来事に喜ぶ

ドラマの風景の正体は
離れた場所には存在せず
一番身近な身の廻りにいる

家族で食べる食事の風景
それは最も幸せな原風景の一つである


自由詩 原風景 Copyright 鷲田 2017-04-04 20:18:57
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